Off the Beaten Path

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老後資金、これだけあれば大丈夫(その2)

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(ビーチ@トゥルム、メキシコ 2013年7月撮影 by offthebeatenpath)

 

前回のエントリーは、日米における「十分な老後資金額」へのアプローチの違いについてでした。アメリカのサイトにあるような気軽に使えるオンライン計算機や計算式が、日本のサイトでももっと普及すればいいなと思います。というのも、アメリカほど酷くないにしろ、日本も以前の様には国と会社には頼れなくなってきているように見えるからです。

 

老後資金確保は自己責任の時代?

アメリカをはじめとした他の先進国同様、日本でも、公的年金支給開始年齢が引上げられています。近い将来、さらなる引き上げがあるかもしれません。日本独自といわれる退職金制度は、廃止するか導入しない企業が増えてくるでしょう。

 

さらに、アメリカ同様、運用成績の低迷による積立金不足が企業経営を圧迫していることから、確定給付型の企業年金も、JALのように支給減額したり制度廃止に踏み切ったりする企業がさらに出てくると思います。代わりに、企業型確定拠出年金と呼ばれる日本版401(k)制度に徐々に移行していくのではないでしょうか。

 

これは、運用リスクを企業から個人に移転する、ということです。老後資金の管理は自己責任でどーぞ、と。ポータビリティー(可搬性)があるため、転退職をしても401(k)資産は本人に属したままで影響なしなど、メリットももちろんありますけど。

 

アメリカのサラリーマンは大変

話をアメリカに戻します。下のチャートにある通り、米民間営利企業勤務のサラリーマンで企業年金がもらえた人は、1990-91年には全体の35%だったのに、2011年には18%まで下がってきています。そして、このトレンドは今後も続くと考えられています。

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(Source: U.S. Bureau of Labor Statistics )

 

私が以前に5年あまり勤めていた会社も、去年、企業年金制度の廃止を決定しました。勤続5年以上の従業員に適応される制度だったので、私にも積立金の中から持ち分を受け取る権利があるようです。この年金は、Mr. OBP(=夫)と私の老後資金の計算に全く入っていなかったため(というか受給資格があったことすらすっかり忘れていた)、お知らせの手紙が届いた時は、「ラッキ~♪」と小躍りしてしまいました。

 

元祖401(k)制度と”retirement crisis”

本家アメリカの401(k)は、確定拠出型個人年金制度です。つまり、従業員が自分の賃金から拠出をします。その額の一定割合をマッチングとして上乗せする企業もあります。ところが、401(k)制度を含めた個人年金制度への参加は任意なので、拠出額が少なすぎる人もいれば制度の利用すらしない人もいるのです。

 

またいずれ詳しいことは書こうと思いますが、近い将来、アメリカは”retirement crisis” (「老後危機」)に直面すると言われています。

 

The New Schoolが2013年に発表した分析レポートによると、公的年金支給開始年齢に近い50-64歳のアメリカ人を年収で四の層に分けたところ、

下位75%(下から三層)は、年収が$52,536以下

下位75%(下から三層)は、老後資金口座の残高平均がたったの$27,207

となったそうです。

 

前回のエントリーの最後で書いた、「リタイア直近1年の総収入の8倍必要」という最低ラインに届くのは絶望的です。さらに、各層の平均値ではなく中央値をみると、なんと、

下位50%(下から二層)の中央値は残高ゼロ

という結果に!

 

つまり、この年齢層の少なくとも25%が老後資金口座に残高がないのです。

 

レポートには、条件を変え、個人ではなく世帯、残高ゼロ以外、などとした分析も記載されていますが、楽観的になれる数字は1つもありません。

 

退職金制度がない上に、企業年金をもらえる方が珍しくなってきているアメリカで、老後資金口座の残高が年収と同額にすらならないという50-64歳の人たちは、他に老後の収入源のアテがあるのでしょうか?公的年金だけでは、かつかつの生活になってしまうと思います。

 

必要な年間老後資金貯蓄率は?

老後危機に陥らないために、どうやって資金準備をすればいいのでしょう?これまで見聞きした限りでは、アメリカのファイナンシャル・アドバイザーたちは、こぞって、

雇用主マッチングと自己資金を合わせ、年収の15~20%を老後資金として蓄え続け運用すべし

と薦めています。

 

種々の細かい点を省き、かなり大雑把に言うと、20代半ばから毎年このペースならば、安全運用でも67歳までに「リタイア直近1年の総収入の8倍」をクリアできるようです。ウサギとカメならカメ、アリとキリギリスならアリ。コツコツやるのが一番です。

 

日本のサラリーマンの場合は、老後の医療費がアメリカほどかからないため、老後資金向けの貯蓄率を下げてもいいのかなという気がします。ただ、インフレと投資リターン%が違うので、私にははっきりしたことは言えません(→誰かモデル作りませんか?)。

 

皆さんの年間老後資金貯蓄率は何%ですか?

 

ではまた。